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ホトトギス

2022年07月28日 10:07

先日6月に栃木のクライアントに行ったら、ホトトギスの鳴き声をきいた。
この時期、タチアオイの花、卯の花はよく見かけますが、今年はホトト
ギスの鳴き声を聞いたのは初めであった。

ところで、タチアオイの花は下から順次咲いていきますが、一番上の花が
咲いたら梅雨が明けるというが、もう関東は梅雨明け宣言したけれども、
まだタチアオイは下から順次咲いていきます。

春を告げるウグイス、夏を告げるホトトギスの初音を待ちわびて季節を
かんじている人が多くいるのではないでしょうか。
ウグイスの透き通るような美声に対し、ホトトギスは何かを訴えかけるよ
うに切なく響く鳴き声から「鳴いて血を吐く」とも例えられように、われわれ
には個人的に感じ方が違うと思われます。

日本では、ホトトギスの擬音は「てっぺんかけたか」と聞こえるとの事です。
また、ホトトギスは夜も鳴くといわれますが、聞いた事はありません。
ウグイス嬢というが、ホトトギス嬢とは聞いた事がない。
ホトトギスは自分の卵をウグイスなどに托卵する習慣でウグイスの巣に
産み付け育ててもらう事でも知られている。
良寛和尚の辞世の句に、「形見(かたみ)とて何か残さん春は花、夏ほと
とぎす、秋はもみじ葉」、また道元禅師の詩にも、「春は花、夏ほととぎす、
秋は月、冬雪さえて冷(すず)しかりけり」とホトトギスが句に出てきます。

川端康成の「美しい日本の私」の著書を英訳したサイデンステッカーさん
は日本においては「春は花 夏ほととぎす 秋は月」を引用して、四季の
移りの折々の美を表す言葉として「雪・月・花」、「花鳥風月」を感じる、
山川草木、森羅万象自然のすべての美を現す言葉とするのが伝統な
のでありますと日本の句を称賛しております。
川端康成がノーベル賞を受賞できたのは、サイデンステッカーの英訳が
貢献したといわれています。
NHKのテレビ番組の「映像の世紀」で、不忍池の散歩で見かけた、2019年に
不忍池の散歩中に亡くなったドナルド・キーンさん、サイデンステッカーさんは
戦後の日本において、日本文学に多大な貢献した事を知る事となりました。
二人とも、太平洋戦争で日本語解読の軍人で、戦後日本の言葉の美しさ
から、日本に駐留してそのまま生活していたとの事です。
「目には青葉 山ホトトギス 初鰹」(江戸時代の俳人・中山素堂)と目、耳、
口の体で季節を感じる句です。

「夏は来ぬ」の歌詞にも、ホトトギスがでてくるが、
卯の花のにおう垣根に
ほととぎす早も来(き)啼(な)きて
忍音(しのびね)もらす夏は来ぬ   と季節感を感じていたのでしょう。

武将の性格を表現するのに、ホトトギスが例えられています。
鳴かぬなら殺してしまえホトトギス   織田信長
鳴かぬなら鳴かせてみしょうホトトギス 豊臣秀吉
鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス  徳川家康
鳴かぬならそれでもいいよホトトギス  前田利家
鳴かぬなら放してしまえホトトギス   明智光秀

当て字として、「時鳥」、「不如帰」、「子規」とあるが、正岡子規の
俳号の「子規」はホトトギスからといわれているが、「啼いて血を
吐くほととぎす」と自分の結核を患っていた境遇を表したとされて
いる。

徳富蘆花の小説に「不如帰」があるが、この主人公のの川島浪子も
結核を理由に離婚を言い渡されたという悲劇です。昔は結核は不治
の病で、コロナより怖い病気でした。

私の生活の毎日は、ホトホトギリギリスです。

令和4年7月31日
小関勝紀
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