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2021年07月29日 10:54

今、象の群れがミャンマー北部から、一年以上中国本土の北の雲南省
昆明市に向かって行進中で騒ぎになっているニュースが流れている。

象の群れの行進は、草や木をなぎ倒し大地が踏みにじられてブルドーザー
が何台も通過したように、農場やアスファルト舗装の上などを歩いて北上
を続けている。

中国本土の象の行進のニュースから、テーマを象としたのは、すぐ野尻湖
のナウマン象の発掘を思い出しました。私が保有していた地質学、考古学、
古生物学、人類学等の本は、故郷の様似町の図書館が寄贈したのですが、
亀井節夫さんの「日本に象がいたころ・岩波新書1967年5月20日発行」とい
う本だけは何か気にしていたのか、寄贈しないで保管していたのです。

江戸時代に、伊藤若冲の屏風絵、狩野探幽の壁画に「象」の絵があります。
また、二代目市川団十郎の演目に「歌舞伎十八番」の「象引」というものが
あるが、江戸時代には明国船で運ばれ、徳川家康公に贈られという記録が
あるようで安土桃山時代から日本人は象の存在を知っていました。

また、織田信長時代の屛風絵にも、南蛮貿易で渡来して道を歩く象が描か
れている。
南蛮船に乗り送られて、徳川吉宗に献上された二頭の象は長崎から江戸
までの長い旅を巨体を揺らしながら行進したとの記録もあります。
「法華経」の中に、「普賢菩薩が六牙の白象にのって云々」ということが書
かれている。
象は厳しい秩序を保って群れをなして移動して「象の道」を造って、生息す
る動物です。日本列島にも、ナウマン象が生息していた事は、長野県の野
尻湖、北海道の忠類村、津軽海峡のトンネル工事、現在の上野の松坂屋
あたりから化石が発掘されておりますが、日本国内の各地で発掘されてい
ます。
日本にいたナウマン象は65万年前から42万年前には出現していて二万年
前の洪積世末期の時代まで生息していたとされ、日本列島には、道のな
い密林で、ナウマン象が群れをなして行進して道を造り、人間と小動物は
後ろに付いて一緒に行動します。もちろん人間は、狩猟生活で、弱ったナ
ウマン象・小動物・草木を食して移動生活しておりました。

今、日本で一番古い石器時代の石器は、このナウマン象が生息していた
野尻湖から発掘された石器で「星型」と「三日月」の形をした石器といわれ
ています。
星型は食料を捌(さば)くまな板、三日月は食料を切る刃物として利用して
いたものです。
因みにナウマン象の名付け親は、フォッサマグナ(中央地溝帯)をも発見
した、明治時代に日本が学者として招聘したナウマンという人の名前から
ナウマン象です。明治時代に大森貝塚の発見者は、アメリカ人のエドワー
ド・モースです。
私の北海道の近くの襟裳岬の側で、子供の頃にマンモス象の歯の化石
が発見されたと話題になっていたが、現在の発見されたものとしては北
から南下した南限が襟裳岬、またナウマン象は南から北上した北限が
北海道の忠類村とされている。
マンモスというと、「マンモス団地」、「マンモス大学」と大きいものを表す
言葉として使われる。
マンモス象は、500万から400万年前の地球に誕生した象の仲間である
が、30万年前に始まった地球の寒冷化に対応してヨーロッパからシベ
リアにかけて広い範囲に生息していた。
スペインのアルタミラ洞窟にもマンモスの絵が描かれている。
マンモスは、なぜ絶滅した原因は、気候の温暖化に環境変化と人類の
食料・骨の資材としてマンモス狩りではないかという。以前写真で見た、
実際シベリアの家は、大量のマンモスの骨で造られている。
その時代の日本列島は陸続きとなっている時代です。
象の学名は「  ~ドン」として分類していますが、ドンとはラテン語の「歯」
という意味で歯はエナメル質に覆われているので、地質に解けないので
化石として残るので、「歯」で分類しています。
終戦記念日になると、評論家故秋山ちえ子さんの象の花子他二頭の餓死
する「かわいそうなぞう※」の童話は戦争の悲惨さ忘れないようにと毎年
TBSラジオで本人が朗読して放送されていました。
インド発祥の寓話に「群盲(ぐんもう)象を撫(な)でる(評す)」という言葉がある。
象の鼻にさわった盲人の一人は鼻だけで象を想像するし、尾にさわった他の
一人はそれだけで象の姿を主張する。そうしたものをまとめあげると実際の
象とはとんでもなくちがった象が出来上がる事をいうのであるが、皆さまには
しっかり全体を見澄まし、狭い範囲の考えで身勝手な批判するような群盲の
一人にだけにはならないようにしましょう。
今回のテーマはこの「群盲象を撫でる」のごとく全体を見ず一部だけで判断し
てはいけないという事を強調したかったのです。
象に、身勝手な批判、難癖(なんくせ)の類(たぐい)をつける政治化(家)・マスコ
ミのスタンドプレーをする輩(やから)どもを踏みつぶしてもらいたいものです。
象(ゾッ)っとする話になりました。

追記
令和3年7月27日国連教育科学文化機関(ユネスコ)より、「北海道・北東北の
縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録されたという、ニュースが飛び込んできた。
縄文時代は13,000年前から23,000年前で10,000年間の長きにわたりますが、
農耕生活でなく狩猟生活だけで生存していたとの評価の様です。

※「かわいそうなぞう」
児童文学作家、土家由岐雄による童話。太平洋戦争中の東京・上野動物園で、
象が戦時猛獣処分を受けたという実話を元にした創作。

令和3年7月31日
小関勝紀

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